2017年の秋に発売されたルアー「スチールミノー」。"メタルジグ系ルアーの2フック化"と"ミノーアクションの再現"という2つの難題に挑んだタックルハウスが、難産の末に導き出した答だ。その奇抜なフォルムに目が奪われがちであるが、一度でも投げてみれば、スイミング良し、フォール良し、カーブフォール良しの万能っぷりを味わえることだろう。その開発秘話を明かしてもらうために、タックルハウス社へと取材に赴いた。

ハイ! HFE(自称Hyper Fishing Editor)のフカポンです。今回紹介するルアーは、タックルハウスの「スチールミノー」。コレがなかなかおもしろいんですよ。一部で公言しているとおり、タックルハウスは結構好きなメーカーでして。ちょっと好きバイアスが掛かってはいるものの、そこはプロ編集者として冷静に、この変わり種ルアーについて書かせていただきます。

どうしてこうなった!? へんてこフォルムの…えーとなんだコレ…?? ミノー? バイブレーション?

画像: 現在31gと41gのモデル、そして後述する18gのモデルが展開中。31gと41gはサーフのフラット&青物に最適。18gは港湾部キラーに名乗りを上げておりますな。18gはやく使ってみてー(手元にはあります)

現在31gと41gのモデル、そして後述する18gのモデルが展開中。31gと41gはサーフのフラット&青物に最適。18gは港湾部キラーに名乗りを上げておりますな。18gはやく使ってみてー(手元にはあります)

去年の秋に、タックルハウスから発売された「スチールミノー」。もう愛用している人も多いかと思います。が、このタックルハウスというメーカー、お世辞にもプロモーションが上手いとは言えないんですよね(^_^;)「良いものは宣伝しなくても売れる」的なこだわりもあり、過大なアピールをしないメーカーでもあります(そこがいいところでもあるのですが…)。なので、わりと口コミの評価だけでセールスを重ねているルアーでもあります。

画像: こちらスチールミノーのプロモーション動画のひとつ。さらーっと見てしまうと「あぁ、タックルハウスだしこれぐらい動くルアーを出すのは当然だよね。ふふふっ」と何気なく流してしまいます。が、噛みしめると割とトンデモナイことやってるんですよね。それを記事で解説します。

こちらスチールミノーのプロモーション動画のひとつ。さらーっと見てしまうと「あぁ、タックルハウスだしこれぐらい動くルアーを出すのは当然だよね。ふふふっ」と何気なく流してしまいます。が、噛みしめると割とトンデモナイことやってるんですよね。それを記事で解説します。

さて、このルアーですが、カテゴリー的にはジグでもなくメタルバイブでもなく「ミノー」である、として話を進めたいと思います。しっかし、先鋭的なデザインですよね。どうしてこうなった? 気になるところもあり、小生、タックルハウス社に取材に出向きました。

メタル系ルアーの2フック化は難しい。

最初、タックルハウスではミノーのように泳ぐジグを作れないかと考えて開発に取り組んだようです。もともとジグも作っているメーカーではあり、ノウハウの蓄積も十分だし、「いっちょやったるか!」となったんでしょうね。

しかし、ルアー開発者なら誰しもが知る「ジグ系ルアーの2フック化は至難の技」という問題にぶち当たります。当然、それは知っていて取り組まれたようです。解決のノウハウはあると自信も持っていたようです。

開発時のサンプルメモ。ジグを強く意識したフォルムだったことが伺えます。

そして、ジグミノーと謳うからには「2フックでしっかりと泳ぐルアーを作りたい」とタックルハウス社のルアーデザイナーF氏は考えたそうです。

メタルバイブは鉄板ルアーですのでジグ系とは一線を画します。F氏が作りたかったのは、メタルジグ系のミノールアー。単純な形状(ミノーを意識したフォルム)ではどうやっても2フックで(ちゃんと)泳ぐルアーが生み出せなかったようです。

〈ちなみに既存の2フックメタルジグで「スイミングが破綻しないジグはありません」(あったら教えてくれぃ!ただし破綻しても釣れなくはない…)〉

ところがどっこい誰もが匙を投げるメタルジグ系ルアーの2フック化&ミノーアクションの再現にタックルハウス社は本気で乗り出します。その結果、あるパーツは不可欠という結論に至るのです。

フラットプレートテールの装着。

「これがないとアクションが破綻します。でも、これのおかげで光明が見えました」

画像: このフラットプレートテールを鉛で挟み込むように成形する。ちなみに中央のラクダのコブみたいな形状は、フォール時の姿勢を安定させるアンカーになっているスタビライザーフィン。練り込まれた形状だ。

このフラットプレートテールを鉛で挟み込むように成形する。ちなみに中央のラクダのコブみたいな形状は、フォール時の姿勢を安定させるアンカーになっているスタビライザーフィン。練り込まれた形状だ。

開発者のF氏が遠くを見るような目で語りました。いきつくまでの試行錯誤が半端なかったことが伺えますね。目標とするアクションに対する解決策が、"ジグにプレートを挟み込む"というアイデアだったのです。ジグのアクションを安定させるスタビライザーの役割をこのプレートが担うことを導き出します。同社ではこれを「フラットプレートテール」と名付けています。

〈このフラットプレートテールの装着で、2フックでも3フックでも何でも来い!となった模様です。ちなみに本誌取材時にはスタビライザーフィンと呼称しておりました。スタビライザーフィンはコブの部分とのこと〉

画像: 数多と作られたプロトモデルが、このルアーの難産を物語っている。最初の水槽テストでしれっと泳いだので簡単じゃん!とフィールドに持ち込んだら、全然泳がなかったらしいです。

数多と作られたプロトモデルが、このルアーの難産を物語っている。最初の水槽テストでしれっと泳いだので簡単じゃん!とフィールドに持ち込んだら、全然泳がなかったらしいです。

コレ、何百というサンプルを整形し、導いた結論とのこと。プレートの装着で諸問題が解決することはわかったものの、本当にそれだけしか解決策がないか、また立ち戻って鉛だけのルアーフォルムにサンプルを作り直し、テストしたりと必要性を何度も問うたようです…。

〈たぶんですが、ルアーの形状としては奇抜になりますし、もっと美しくミノー前としたルアーを作りたかったのではないかと…。タックルハウスさんのルアーは美しい形状のものが多いですからね。スチールミノーが美しくないかって?いや、だって、奇抜なデザインでしょ!〉

画像: これはプレートの装着、安定化により2フックどころか3フックも可能と作られたプロトモデル。

これはプレートの装着、安定化により2フックどころか3フックも可能と作られたプロトモデル。

ミノーアクションを付与するための工夫。

さて、もうひとつの関門、ミノーアクションを付与する。という大問題です。左右に細かくバイブレーションするメタルバイブとは一線を画す挑戦です。ミノーアクションというからには、ウォブル(横方向の振れ)やロールが伴う誘いの動きが必要になります。

ミノールアーのアクションの中心点は、どちらかというとルアーの中心よりにそれがあります(ウエイト位置だのリップ位置だのでコントロールできますしね)。とくにウォブリングの動きの中心が前(頭)すぎると、ただお尻を振るだけのルアーになりますし、それではミノーアクションになりません。

なるべく後ろ側にその中心点を持っていき、ウォブルとロールを与えられないものか…。と苦心されたようです。その結果、逆リップとも言うべき珍妙な位置のリップ&アイが導きだされたようです。

画像: 上の逆リップがアクションのキモ。顔の先端についているアイはラインを結ぶためのものじゃなく、サーフで使っていると、先端部が摩耗してしまうらしく、それを防ぐダンパーなのだとか。そこを結んで泳がないんですか?「泳がなくはないですが、推奨はしません(笑)」とのこと。

上の逆リップがアクションのキモ。顔の先端についているアイはラインを結ぶためのものじゃなく、サーフで使っていると、先端部が摩耗してしまうらしく、それを防ぐダンパーなのだとか。そこを結んで泳がないんですか?「泳がなくはないですが、推奨はしません(笑)」とのこと。

「アイの位置をルアーより上方に配置することで、ルアーがアクションする軸をずらすことができました。それによりウォブルとロールをうまくルアーに与えることができたんです」

ちなみにこのリップ、抵抗によりアクションを制御するたぐいのものではないようです。多少は何らかの影響があるとは思いますが、このリップはあくまでもアイの位置を上方にオフセットするための策だったようですね。

プロモーション映像からは見えない凄さ。

「フカポンさん、少し水槽で見ていきますか?」

取材時にこんなお誘いを受けました。一応、取材前に、プロモーションの映像は見ていますし、どんなアクションかは勉強済み。でもせっかくですから、見ていくことに。

「こんな感じで泳ぐんですよ…」

・・・・・!? え、ちょっとまってください。水槽の空間だけでこんだけ泳ぐの?? というかそんなスローリトリーブで、なんでそんなアクションするの?? 確かに、スローでも動くよってPVでも強調はされていましたが、水槽のテロテロ引きでこんだけ動くの??

そう、想像していたよりもスローリトリーブでめちゃくちゃアクションするんですよこのミノー!動き出しも早いし、本当にスローでもしっかりと動きます。これに、正直ビビりました。メタル製のほぼジグに近い形状なのにここまでミノーライクに、なおかつスローリトリーブで動くんかーい!

〈このスローリトリーブでもしっかり泳ぐメタルルアーってのが、個人的推しポイント。こりゃぁ釣れないわけがねぇぜ。スローリトリーブどころかデッドスローでも泳ぎますぜ。〉

 

18gが新発売。小型ですがこいつもキビキビ動きます。

ということで18gも最近発売されたんですが、すこーしだけ31g/41gと形状が違います。編集部で撮影した下記のプロトモデルの写真をご覧ください。セカンドアイという部位が設けられています。これ、フックを大物狙いで一回りサイズをアップしたときに起こる通称エビ現象(フックがラインやルアーに絡まって機能しなくなる)を防ぐアイデアとのこと。このアイを使い、スプリットリングで不必要な動きを制限するわけですね。ちなみにこのアイ、31g、41gの次回ロットに採用される可能性があるとのこと(ということはついていないモデルが少しレアになるかもね!)。どっちにせよ、マイナーアップデートは歓迎ですよね。ユーザー的には。

画像: こちらが18gです。

こちらが18gです。

画像: 写真のようにスプリットリングを装着して、フックの不必要な動きを制限し、大型のフックを装着した際のエビ化を防ぐ。

写真のようにスプリットリングを装着して、フックの不必要な動きを制限し、大型のフックを装着した際のエビ化を防ぐ。

スイミング良し、フォール良し、カーブフォール良しの万能ミノー。

正直、メタルジグほどの飛距離はでないですが、メタルジグに匹敵する飛距離が出せ、スイミングではミノーアクションを実現。なおかつ、スローリトリーブでもファストリトリーブでも動きが破綻しない2フック仕様。デッドスローでしっかり動くので、フォールでも結構魅力的なアクションをします。フリーフォールはヒラヒラと舞い落ちるジグ的な動きなのですが、テンションフォールはしっかりと泳ぎながら(ほぼ水平)フォールするようです。このフォール時のバイト、めっちゃ多いそうですよ!

形状はちょいと奇抜ですが、諸々のお話を聞いてみると使ってみたくなるルアーです。さて、18gを持って湾岸シーバスをちょっと狙いにいきますよ!(釣れたら報告しまーす)。

画像: こんな感じで釣りたいです!

こんな感じで釣りたいです!

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