みなさんは「アカメ」という魚をご存知だろうか。西日本南西部太平洋側に分布し、河口などの汽水域に生息するプレデター(肉食魚)。その大きさは1mを超え、30〜40kgに達するということもあり、釣りの対象魚として非常に人気だ。稀有な存在ゆえに保護の動きが加速している中、高知県ではアカメを県の自然を代表する魚として「注目種」に指定することに。その意味について考察する。

[ハイ、いちおう高知県出身のHFEフカポンです。故郷に馴染みの深い釣りの対象魚「アカメ」に関する話について少し書きます]

「アカメ」は西日本南西部太平洋側に分布し、河口などの汽水域に生息するプレデター(肉食魚)。その大きさは1mを超え、30〜40kgに達するということもあり、釣りの対象魚として人気だ。

日本の淡水域でこれほどの大型になる種は稀で、ゆえに大物釣り師にとっては至高とも言える存在である。

アカメは、環境の悪化や観賞魚としての価値ゆえに、稚魚を乱獲するなどの影響からその数を減らし、絶滅危惧種として環境省レッドリストなどに定められた経緯がある。

宮崎県などでは2012年12月21日に県の指定希少野生動植物に指定され、採捕を禁止しているなど保護の動きが加速している。また、環境省の定める汽水・淡水魚類レッドリストでは絶滅危惧IB類ENにカテゴライズされている(2018年)。

高知県がアカメを「注目種」と定めた意味

さて、筆者の故郷・高知県では、アカメを「注目種」とすると定めた(2017年)。注目種とは、今すぐに絶滅する恐れがなく、高知県版のレッドリストには該当しないものの、特徴ある分布や生息の状況から高知県の自然を代表する生物だと認められる種のことを指している。

別の表現をすれば、アカメは高知県下の環境では絶滅危惧種に指定するような危機的な生息状況ではなく、普通種並みに個体が確認できるものの、全国的に見たときにその希少性は疑いようもないことから、保護の観点により「注目種」というカテゴリーに含めることにした、とも言える。

[もっと端的に言うと、レア度的肩書きとしては「絶滅危惧種」から「注目種」に格下げ(?)されたことになる。環境が整い始めて種としての個体数が一定数確保されているということだから、もちろん嬉しい事実ではある…]

しかし、だからと言ってこの魚をぞんざいに扱っていいというわけではない。アカメが注目種に指定されたのは、あくまでもこの資源を有意義に保護していくことが目的と言えよう。ゆえに県では、遊漁者や採捕者に向けてアカメの取り扱いに関する啓蒙活動を行っている。高知県の林業振興・環境部 環境共生課が作成したパンフレットの内容の一部を抜き出してみよう。

  • 釣ったアカメは再放流しましょう。(キャッチ&リリース)
  • 無用な殺傷はやめましょう。
  • 販売目的のアカメの捕獲はやめましょう。
  • 捕ったアカメを他の地域に持ち出さないようにしましょう。
  • 他の地域で捕ったアカメを持ち込まないようにしましょう。

さて、ここからがある意味で本題。現状では国や県が定めるところの「絶滅危惧種」や「注目種」に指定されたからといって、"法的に"採捕や捕獲が制限されるわけではない。「指定希少野生動植物」に指定されることで初めて、捕獲・飼育・販売が"法的に"制限される。

なので、上に挙げたパンフレットの啓蒙内容は、法的規制ではなく"お願い"でしかない。その上であえて我々は、この内容を釣り人や自然で遊ぶもののマナーとして受け入れるべきだろう。

正直なところ、アカメは食用としてはスズキなどの魚に劣る。無理に食料利用する魚ではない(ぶっちゃけ、そんなに食べやすく美味しい魚ではないということ)。そんなこともあり、釣ったアカメをキャッチ&リリースすることは、すでに定番となっている。

ただ、逃がすことを前提としているにもかかわらず、個体に対する扱いがぞんざいになりがちな事象も多く見受けられるため、今後はより"生存"を意識したリリースの方法を模索する必要がある。ここは釣り人各自が意識的に研究してほしい部分でもある。乾いたアスファルトに魚を直接置いたり、長時間なんのフォローもせずに地上で晒したりなどはもってのほか。リリース時には元気でも、釣り上げた際にできた傷が要因で病気を患い死に至るということは十分に起こりえる。なので、可能な限りダメージを与えないようにリリースする心遣いが釣り人には必須と言えよう。

釣り人のマナーアップは急務!

また、リリース云々の話以前に、アカメを釣るために高知県に人が集中しがちな昨今(生息数が多く、釣り場環境として開放されているのは事実上高知県だけ)、釣り人のマナーアップが急務となっている。釣り場だけでなく、釣り場近辺の駐車マナー、騒音マナー、ゴミのマナーなど意識すべきことは多岐に渡る。釣り人としてこういった気遣いができないままと、高知県が「注目種」として定め、ある意味でアカメ釣り自体を県の文化として許容してくれた寛容さを踏みにじることになりはしまいか?

画像: 高知県・四万十川。そのロケーションの良さから、ここでアカメを釣ることを目標にするアングラーは多い。

高知県・四万十川。そのロケーションの良さから、ここでアカメを釣ることを目標にするアングラーは多い。

これはアカメ以外の釣りにも共通することだが、国や県や地元、漁業組合などの寛容さを理解せぬままに、好き放題に釣りを楽しんだり権利を主張するばかりだと、いずれすべてが釣り人自身に返ってくることを意識してほしい。釣り人が唱える"権利"なるものは、国や都道府県および漁協にとっては戯言程度に過ぎず、それに対峙するには釣り人はあまりにも弱小な存在に過ぎないことを自覚すべきだろう。釣り人が釣りの権利を主張すべき前にすべきことは、自身のマナーアップと、地元や漁業組合の話に耳を傾けて協力していく意識だ。

この高知県のアカメ釣りに関しても、地元の釣り人や環境保護団体などが手を組み、アカメを大事に守りつつ、釣りの対象魚としても後世に残したいと尽力したからこその結果である。世間的な論調に足並みを揃えることを優先して保護指定がなされることによって、憧れの釣りの対象魚としてアカメを釣る文化が実質なくなってしまうところだったと言えなくもあるまい。

水辺で遊ぶ人がいなくなると、途端に水辺を含む自然環境への関心自体が薄れていくだろう。我々釣り人が時として魚を傷つけてしまう存在であることは否めないが、だからといって決して全体悪のそしりを受けるものではあるまい。せめてもの務めとして、水辺環境を見守る立場において襟を正し、この文化を正しく後世に伝えることが重要と考える。高知県のアカメ釣りが、多くの人にとって残すべき文化と認められるよう、釣り人として努力をしていきたい。

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